2006年07月12日

映画『サイレントヒル』

サイレントヒル 今回の映画は『サイレントヒル』です。ゲーム原作でヒットした作品と言えば『バイオハザード』が記憶に新しいですが、サイレントヒルも世界で500万本以上を売り上げているKONAMIのゲームを原作にしています。私もこのゲームシリーズは1stから毎回欠かさずプレイしていたので、映画でいかに原作を料理しているのかを非常に楽しみに鑑賞してきました。
 
・あらすじ
ローズ(ラダ・ミッチェル)とクリストファー(ショーン・ビーン)夫妻は、幼い頃に養子にしてから育ててきた娘のシャロン(ジョデル・フェルランド)の奇妙な言動に悩まされていた。母親のローズは、夢遊病のごとく無意識で歩き回り、行った事も無いはずのサイレントヒルに帰りたいとうわごとを言うシャロンを心配し、夫の反対を振り切って娘と二人きりでサイレントヒルに向かう。かつては栄えながら今は原因不明の炭坑火災で閉鎖され、消える事の無い地下火災が今も続く廃墟のサイレントヒルに、一体娘と関係する何があるのだろうか?
しかしローズ達の乗った車はサイレントヒルで事故を起こしローズは気絶してしまう。意識が戻ったローズは車から娘がいなくなっているのに気付いた。しかも到着したはずのサイレントヒルはどこか様子がおかしかった。いつまでも晴れない霧、止むことなく空から降り続く灰…。ローズはいなくなったシャロンに似た人影を見つけ後を追うが、突然サイレンの轟音が街に響いた時、サイレントヒルは恐ろしい姿に変貌を始めたのだった…。
果たしてローズは娘を取り戻し、サイレントヒルから脱出する事は出来るのだろうか…?!

・以下多少ネタばれがあります。[ネタばれ]は反転させてご覧下さい
監督のクリストフ・ガンズは『ジェヴォーダンの獣』『ネクロノミカン』などマニアな感じのホラー映画を撮りつつ、『クライング・フリーマン』で日本のコミック原作の映画化経験もあるというちょっと変わった経歴の人。本編は設定や人間関係に未消化の部分があるものの、意欲的なモンスター描写や世界観の再現などゲームの映画化としてのポイントはしっかり押さえていて好感が持てる出来でした。

まずこの映画の一番の魅力は、やはり全編力の入ったビジュアルの部分でしょう。重要なサイレントヒルの街のセットは実際にカナダに大掛かりな街のセットを建築しただけあって、『霧に包まれたゴーストタウン』がほぼゲーム通りに再現されていました。また原作好きな人なら見ればすぐ分かる、ゲームの映像がそのまま映画に再現されている部分が随所にあり、ゲーム自体をコンテ代わりにして撮影していたという話も納得のゲーム再現度でした。このサービス精神は原作ファンにとってはかなり嬉しかったですね。
でもただゲームのまんまの絵の羅列ではなく、この監督ならではのビジュアル感覚が光っていたのは、サイレンが鳴り響くと出現する『裏世界』の描写でしょう。世界が『血と鉄錆と死に満ちた世界』に一変する様をこの監督ならではの優れた演出で上手く表現していたと思います。そして様々なモンスター、中でもシリーズで一番人気だった巨大な三角形の頭を持つ『レッドピラミッド』が、出番は少なめながら巨大な鉈で執拗に主人公達を追いつめ、あまつさえ犠牲者を文字通り[一皮剥いてしまう]カット、そしてクライマックスの大殺戮シークエンスなど、全体的にグロテスク気味で人を選ぶ所はあるものの、その徹底的な描写はかなりよく出来ていたと思います。なにより音で脅かさず、絵で恐怖を見せてくれる演出は評価したいと思いますね。あ、個人的には大殺戮シーンでも『レッドピラミッド』に大鉈振るって頑張って頂きたかったんですけどね(何を頑張れと)。

一方ストーリーの方ですが、基本的にはゲームの1作目をベースにした作りになっていました。不満を言えば、ゲームならではのシナリオ展開が映画としてのストーリーの必然性に馴染んでいない部分があり、お約束に慣れてない人には多少不親切で分かりづらかったかも。
大きい変更点は主人公がゲームでは旦那だったのが映画では奥さんに変わっていた事ですが、これは母娘の愛情をクローズアップした映画のテーマとの兼ね合いで変更されたんだろうと想像出来ますし、結果的に変更は成功していると思いました。妻ローズ役のラダ・ミッチェルは全編かなりの熱演が光っていて印象が良かったです。しかし夫クリス役のショーン・ビーンはあまりぱっとするシーンも無く、母娘を思う気持ちは伝わってくるもののもうちょっと劇中で活躍させてあげたかった気がします。それは現実世界でクリスと共にローズ達を探す、地元警察のグッチ刑事の劇中での役割がいまいち明確になっていなかったのが理由の一つかなと思いました。過去に[アレッサを火事から救い出している]ことから、[サイレントヒルの悪(=アレッサを火あぶりにした人々)に加担している]わけではないようですが、クリスをローズ達の捜索から遠ざける(ように見えた)心理がいまひとつ良く伝わらなかったので、絡みも今イチになってしまったのかなと。
そして、サイレントヒルで異常な現象が起きる理由がゲームでは一通りの理屈で説明されていたのですが、その辺も話を映画に組み替えた時に説明が曖昧になってしまったものが多かったように思いました。例えばあの霧のサイレントヒルの街がそもそもなぜ生まれたのか、あの住人達はどうしてサイレントヒルで暮らしているのか、そしてサイレントヒルが裏世界に変貌する理由など…疑問に感じる部分も多いかもしれません。ただ、エンディングに近い所でなんと事件の張本人からの解説が入る(笑)ので、ついて行けなかった人も一通りの理解はできるだろうとは思いますが…いかにもゲーム的ではあるけどここはあまり映画としてスマートではないかも。
そして何よりエンディングの[娘は戻るが二人は霧のサイレントヒル世界から脱出できずに夫婦は出会う事が出来ない、悲しい]結末が映画に余韻を残していたのですが、これには賛否両論あるだろうと思います。個人的にはこのままパート2に続かないのなら、家族を幸せにしてあげて欲しかったですけどね…。ゲームをプレイ済みだと、シビルを[助けられなかった]辺りのフラグから、4つあるエンディングのうちの[誰も助からないbad]エンディングなのかな?(笑)と想像出来てしまうあたりも予想を裏切って欲しかったなぁと思いましたね。

えー、グロ描写に耐性が無い人や緻密なシナリオが好みの方にはお勧めしませんが、原作ゲームが好きな方やホラー好きでスゴいビジュアルが見たい方は絶対見て損はない映画だと思います。クリストフ・ガンズ監督は次にカプコンのヒット作『鬼武者』をリメイクする予定だそうですが、それはちゃっちゃと終わらして(笑)是非サイレントヒル2を作って欲しいんですが…。

ちょっと生臭い話をしますと、BoxOffice系のデータを見る限り現在の全米興収ランキングでは、国内収益4700万ドルで36位とそれなりの成績ですが、Production Budgetに5000万ドルと制作費がかかっている映画の部類に入るので、パート2が作られるかどうかはDVDセールスの成績次第って感じでしょうか?今年は『ポセイドン』みたいに1億4000万ドルの制作費に比べて収益は5900万ドルと半分行ってない大赤字の作品もありますけどね。映画自体の質や面白さは収益で必ずしも量れるもんだとは思いませんが、ビジネスはあくまでシビアですからねぇ…ってなんでこんなことオレが心配してるのやら。DVD出たら必ず買いますからパート2作って!と言いたいだけなのです。あ、あとパート2のエンドロールにはUFOエンディング入れて下さいね!約束ですよ!!(笑)

ー原作ゲームー
サイレントヒル PS one Books
サイレントヒル2 最期の詩 コナミ殿堂セレクション サイレントヒル3(コナミ殿堂セレクション) サイレントヒル4THE ROOM(コナミ ザ ベスト)

posted by Bomber at 02:43| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お。すぐに感想のるかと思ったら音沙汰なかったので、どうしたのかな〜とか思ってたのだ。ちゃんと帰れたようで、良かった、良かった^^
そうそう、孤児院の件がよく分からないって呑みながら話したけど、あれはどうも自分の勘違いだったような気がする。
エンディングについては、自分とこの日記でも書いたけど、余韻、というよりは消化不良な感じがしてしまって、個人的にはちょっと・・・
ホラー見慣れてないせいかもしれんけど^^
Posted by KAN at 2006年07月12日 12:50
いやーあの後もう1回見たくなって、結局レイトショーで2回目を見てから
朝帰りしてしまいました(笑)。
確かにエンディングに関しては、余韻というよりは投げっぱなし感が強いかもねぇ。結局ローズは邪悪なシャロン=アレッサの復讐に手を貸してしまった訳で、その報いとして娘以外の幸せを手放さざるを得なかった…って解釈はしてるんだけどね。では、いままでローズが良いアレッサを娘として育ててきた事はアレッサに何も影響を与えないのか?ってところがオチにつながっていないのが、脚本として弱いのかなと思ったりして…。

あー、なんかまた見たくなってきました(笑)。
Posted by Bomber at 2006年07月12日 14:08
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サイレントヒル SILENT HILL 感想 ネタバレ 評価
Excerpt: サイレントヒル 感想 ネタバレ 評価 ゲーム実写版映画『サイレントヒル』、 こないだ見てきましたが。今回はネタバレや見所を書いていきます♪
Weblog: エレベーターはレモンの薫り♪-目指すは高層ビル-
Tracked: 2006-08-10 17:35
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